業務災害(労災保険)

労働基準法では、労働者が、業務上負傷したり疾病にかかったりしたときは、使用者はその傷病の治療及びその他の補償をしなければならないと定められています。この補償のため、労働者災害補償保険があります。その補償には以下のものがあります。

療養給付

労働者の負傷又は疾病の治療に必要な療養の給付(装具等の費用を含む)をします。この給付は、原則治るまでされますが、療養開始後3年経っても治らないときは、平均賃金の1,200日分を支払って、打切保障を行うことができます。

休業補償

業務災害のために労務不能になり賃金を受け取ることができないときは、1日につき平均賃金の60%の休業補償が受けられます。労災保険では、休業補償に加えて平均賃金の20%の特別支給金を受けることができます。この支給金は休業補償とは異なるものなので、労災保険以外で休業補償を受けるときでも、別途この支給を受けることができます。この補償にも打切補償の効果が及びます。

障害補償

その傷病が治癒したあと何らかの障害が残った場合には、労災保険では、その程度に応じて年金又は一時金の障害補償が受けられます。「治癒した」とは、元通りになったということではなく、症状が固定し治療の効果がなくなったことを言います。障害基礎年金や障害厚生年金を受給できるときには、併給調整されます。

遺族補償

業務上の事由で死亡したときには、労働者の配偶者、子、父母等、労働者の死亡当時にその収入で生計を維持していた者に、遺族補償年金が支給されます。該当する遺族がいないときには、その他の遺族に平均賃金の1,000日分の遺族補償一時金が支給されます。遺族基礎年金や遺族厚生年金を受給できるときには、併給調整されます。

葬祭費

同じく死亡したときには、葬祭を行う者に平均賃金の60日分の葬祭料が払われます。葬祭を行う者は、必ずしも遺族には限りません。

通勤災害

労災保険では、業務に密接に関係するということで、通勤災害にも業務災害と同様の給付がされます。ただし、通勤経路や通勤途中の行為等によっては給付されない場合があります。