労働基準法(労基法)

労基法では週40時間若しくは1日8時間を超えた労働、又は変形労働時間制における対象期間の1週あたり平均40時間を超えた労働に対しては、通常の2割5分増以上の割増賃金を支払うものとされています。

割増の対象となる賃金

労基法施行規則により、割増賃金の計算の基礎となる賃金には、基本給に加えて、以下の7種類の手当・賃金を除く全ての手当及び賃金を含まなければなりません。
1.家族手当
2.通勤手当
3.別居手当
4.子女教育手当
5.住宅手当
6.臨時に支払われる賃金(結婚祝金、傷病見舞金等)
7.1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)
以上の名称の手当であっても実態が通常の賃金として支払われる場合には、計算の基礎に含まなければなりません。
例えば、家族手当を家族の人数等に応じて支払う場合は除外できますが、一律に支払われる場合は除外できません。住宅手当も住宅に係る費用に応じて支払う場合のみ除外できます。
また、精勤手当や皆勤手当も除外できませんので、月ごとに割増賃金単価が変わる場合もあります。

割増の計算

割増の計算のために、基本給や手当等が月額で定められている場合には、その賃金等を時間額にしなければなりません。
労基法施行規則によれば、1年間の所定労働日数に1日の所定労働時間を掛けて、12か月で割ったものが1か月の平均所定労働時間となり、賃金月額を平均所定労働時間で割ったものが1時間当たりの賃金となります。
例えば、基本給200,000円、職務手当20,000円、精勤手当10,000円、通勤距離に応じた通勤手当8,000円で、1日の所定労働時間が8時間、年間休日数が110日の場合は、
(365日-110日)×8時間÷12=170時間(1か月の平均所定労働時間) (200,000円+20,000円+10,000円)÷170時間=1352.94円(1時間当たり対象賃金) 1352.94円×1.25=1691.17円(割増賃金単価)になります。

その他の割増賃金

時間外割増の他、午後10時から翌5時までの深夜労働に対しては2割5分増、法定休日(1週1日又は4週4日が法定休日)に労働させた場合は3割5分増の割増賃金を支払わなければなりません。
また、1か月60時間を超える時間外労働に対しては、5割増以上の割増賃金を支払うことになりましたが、中小企業には、2023年3月まで適用が猶予されています。